PET（ポリエチレンテレフタレート）は、包装、繊維、エンジニアリングなど、さまざまな用途に広く使用されている熱可塑性ポリマーです。PETは優れた機械的特性、熱的特性、光学的特性を備えており、リサイクルして新しい製品に再利用できます。しかし、PETは吸湿性材料でもあり、環境から水分を吸収するため、品質と性能に影響を与える可能性があります。PET内の水分は加水分解を引き起こす可能性があります。加水分解はポリマー鎖を分解し、材料の固有粘度（IV）を低下させる化学反応です。IVはPETの分子量と重合度を表す指標であり、材料の強度、剛性、加工性を示す重要な指標です。したがって、押し出し前にPETを乾燥して結晶化させ、水分を除去してIVの低下を防ぐことが不可欠です。
赤外線クリスタルドライヤーPET造粒赤外線（IR）光を用いてPETフレークを乾燥・結晶化させる革新的な技術です。PETフレークは、0.7～1000ミクロンの波長を持つ電磁波の一種で、PET分子や水分子に吸収され、振動させて発熱させます。IR光はPETフレークに浸透し、内部から加熱することで、熱風乾燥や真空乾燥といった従来の乾燥方法よりも迅速かつ効率的な乾燥・結晶化を実現します。
赤外線結晶乾燥機 PET 造粒には、従来の乾燥および結晶化方法に比べて次のような利点がいくつかあります。
• 乾燥および結晶化時間の短縮：従来の方法では数時間かかっていた PET フレークの乾燥および結晶化が、IR ライトを使用すると 20 分で完了します。
• エネルギー消費量の削減：赤外線ライトを使用すると、従来の方法で必要な 0.2 ～ 0.4 kWh/kg と比較して、0.08 kWh/kg のエネルギー消費量で PET フレークを乾燥および結晶化できます。
• 水分含有量の低減：赤外線ライトにより PET フレークを乾燥・結晶化して、最終水分含有量を 50 ppm 未満に抑えることができます。従来の方法では 100 ～ 200 ppm に抑えられます。
• IV 損失の低減: 従来の方法では 0.1 ～ 0.2 の IV 損失が発生しますが、IR ライトを使用すると 0.05 という最小限の IV 損失で PET フレークを乾燥および結晶化できます。
• 嵩密度の向上：赤外線ライトは、PET フレークの嵩密度を元の密度と比較して 10 ～ 20% 増加させることができ、これにより供給性能と押出機の出力が向上します。
• 製品品質の向上：IR ライトは、黄ばみ、劣化、汚染を引き起こすことなく PET フレークを乾燥および結晶化できるため、最終製品の外観と特性が向上します。
これらの利点により、赤外線クリスタルドライヤー PET 造粒は PET 押し出しの効率と品質を向上させ、食品グレードのアプリケーションの要件を満たすことができます。
赤外線結晶乾燥機 PET 造粒のプロセスは、供給、乾燥と結晶化、および押し出しの 3 つの主なステップに分けられます。
給餌
赤外線結晶乾燥機によるPET造粒の第一段階は供給です。この段階では、バージンPETまたはリサイクルPETフレークがスクリューフィーダーまたはホッパーによって赤外線乾燥機に供給されます。PETフレークの初期水分含有量は、原料の種類や保管条件に応じて最大10,000～13,000ppmです。供給速度と精度は、乾燥・結晶化性能、そして製品品質に影響を与える重要な要素です。
乾燥と結晶化
赤外線結晶乾燥機による PET 造粒の 2 番目のステップは、乾燥と結晶化です。このステップでは、PET フレークは、内部に螺旋状のチャネルとパドルがある回転ドラム内で IR 光にさらされます。IR 光は、ドラムの中央にある固定の IR エミッター バンクから放射されます。IR 光の波長は 1 ～ 2 ミクロンで、PET と水の吸収スペクトルに合わせて調整されており、PET フレークに最大 5 mm まで浸透します。IR 光は PET フレークを内部から加熱し、水分子を蒸発させ、PET 分子を振動させて結晶構造に再配置します。水蒸気は周囲の空気の流れによって除去され、この空気はドラムを通って流れ、水分を運び去ります。螺旋状のチャネルとパドルは、PET フレークをドラムの軸に沿って運び、IR 光への均一で均質な露出を保証します。乾燥・結晶化プロセスは約20分かかり、最終的な水分含有量は50ppm未満、IV損失は0.05と最小限に抑えられます。また、乾燥・結晶化プロセスによりPETフレークの嵩密度が10～20%向上し、黄ばみや劣化を防ぎます。
押し出し
赤外線結晶乾燥機によるPET造粒の3番目で最後のステップは、押し出しです。このステップでは、乾燥・結晶化されたPETフレークが押出機に供給され、溶融・均質化され、ペレット、繊維、フィルム、ボトルなどの目的の製品に成形されます。押出機は、製品の仕様と使用する添加剤に応じて、単軸スクリューまたは二軸スクリュータイプを選択できます。また、押出機には真空ベントを装備することもでき、溶融物から残留水分や揮発分を除去できます。押出プロセスは、スクリュー速度、スクリュー構成、バレル温度、ダイ形状、溶融レオロジーの影響を受けます。メルトフラクチャー、ダイスウェル、寸法不安定性などの欠陥のない、滑らかで安定した押出を実現するために、押出プロセスを最適化する必要があります。製品の種類と下流の装置に応じて、押出プロセスの後に、冷却、切断、回収などの後処理プロセスを行うこともできます。
結論
赤外線結晶乾燥機によるPET造粒は、PETフレークを赤外線で乾燥・結晶化し、押出機に供給して更なる加工を行う革新的な新技術です。この技術は、乾燥・結晶化時間、エネルギー消費量、水分含有量、IV（粘度）低下を低減し、嵩密度と製品品質を向上させることで、PET押出成形の効率と品質を向上させることができます。また、IVを維持し、PETの黄ばみや劣化を防ぐことで、食品グレードの用途にも適しています。さらに、PETをリサイクル・再利用し、新製品に活用することで、PETの持続可能性と循環型経済に貢献します。
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投稿日時: 2024年1月25日